利益創出策と実現性
利益を生み出すメカニズムについて述べましたので、 次に利益を生み出すための施策について考えて見ましょう。 このページでは、中小製造業における利益創出策を考えるときに、考慮すべき事柄と その利益創出策の実現・可能性について説明いたします。またこのページに 関連する項目について以下に示しておきました。
ここで検討すべき点は、想定した施策の実現可能性と競合他社との関係です。 利益を生み出すためのアイデア・施策はいくらでも考えることができます。 しかし、実現性が低いのであればアイデア倒れとなります。 また、競合他社も利益を確保するため様々な努力をしています。 従って、競合他社よりも優位に立ちかつ利益を生み出すための施策には、 その施策が具体的に実施可能であること 及び他社との差別化が可能であることの2つが要求され ます。
表4.に利益を生み出すための施策とこれらの実現
性及び競合他社との差別化の可能性について示しておきました。
利益を生み出すための施策として、販売価格UP、材料費の低減、外注加工費の
低減、社内加工費の低減、一般管理費・販売経費の低減、品質の向上、
そして新商品の開発・販売の7つを取りあげて見ました。
この表で各記号は以下のことを示しています。
- ◎:施策を講ずることができ実施できる可能性が高い
- 〇:施策を講ずることができれば実施できる可能性がある
- △:施策を講ずれば可能性が少しはある
- ▼:施策を講じても可能性がほとんど無い
表2.を見ると、単純な販売価格UPについては、先ほど説明したように 実現の可能性及び他社との差別化も困難ですので”▼”がついています。 販売価格UPが可能となるのは新製品の販売時だけとなります。 この表において、実現性・差別化の欄に◎または〇 がついている利益を生み出す施策が重要となります。
そして、利益を生みだすための施策には、
- ・単にコストダウンにより経営体質を強化する方法
- ・他社に対して差別化し自社が優位に立つ方法
- ・コストダウンにより経営体質を強化しながら他社に対して差別化を図る方法
の3つがあること、そして行うべき施策に優先順位(◎、〇、△)が あることがお分かり頂けるかと思います。
また、表に示す利益を生む出すための施策の 中で、 実現の可能性が高くかつ他社との差別化ができる可能性が高い施策は、 社内加工原価の低減、品質の向上、新商品の開発・販売、 の3つであることが分かります。
さらにこれら3つの施策について、実現するために要する時間と顧客との調整などの難易度を考慮して、
実施すべき優先順位を考えると、
社内加工原価の低減 > 品質の向上 > 新商品の開発・販売
となります。
また社内加工原価のコスト低減(コストダウン)は、
- ・他社とは関係なく、社内的な問題として容易に実施可能である
- ・コストダウン活動の中で、歩留まり・収率を改善するので顧客品質の向上も望める
- ・製品の開発・設計上の問題を明らかにするので、その知見を新製品の開発に活かせる
などすぐにでも着手可能であることそして直接的・間接的なメリットを得やすいテーマとも言えます。
利益を生み出すための施策は、その 実現可能性と他社との差別化の可能性を考慮し、 優先順位を決めて実施することが大切です。
『経営の見える化』と は、この様な利益を生む出すための施策を見出し、 優先順位をつけてその施策を実施するための道筋を明らかにすることでもあります。
企業によって経営環境が異なりますので、これらの利益を生み出す施策の内、 どの施策をどの様な順番で実施するかについては、経営者の皆様方が意思決定する必要があります。 『経営の見える化』は経営者の方々の意思決定を支援致し ます。
検討すべき項目 | 実現性 | 差別化 | ||
---|---|---|---|---|
販売価格UP | ▼ | ▼ | ||
材料費の低減 | 購入先・購入方法の検討 | 〇 | △ | |
歩留まり向上 | ◎ | △ | ||
外注加工費の低減 | 外注選定と指導 | 〇 | △ | |
内製化の検討 | 〇 | 〇 | ||
社内加工原価の低減 | 直接人件費 | 工数低減 | ◎ | ◎ |
稼働率向上 | ◎ | ◎ | ||
製造経費 | 在庫の削減 | ◎ | ◎ | |
生産期間短縮 | ◎ | ◎ | ||
品質・歩留まり向上 | ◎ | ◎ | ||
光熱費の削減 | 〇 | △ | ||
間接人件費 | 管理・間接業務の効率UP | 〇 | 〇 | |
一般管理・販売経費の低減 | 営業・本社部門業務の効率UP | 〇 | 〇 | |
品質の向上 | ◎ | ◎ | ||
新製品の開発・販売 | 〇 | ◎ |
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