経営サイクルとは
昨今のリーマン・ショック後、「大手の会社からの受注が少なくなった」、 「製品を作っても売れない」、「今期も赤字になりそうだ」と悩まれている中小製造業の 経営者の方々の言葉を聴く機会が多くなって来ました。 景気が良ければ金回りが良く経営は楽ですが、不況下においては当然のごとく 経営は困難を極めておられることと思います。しかし、この様な不況下だからこ そ、経営者としての経営手腕を発揮する良いチャンスかも知れません。
今後さらに経済のグローバル化が進行し、国内外の競合相手との販売競争が
これまで以上に激しくなることが予想されます。そして、競合他社と比較して
価格・品質・納期面で優位に立てなければ、企業間競争に負け、売上を伸ばし利益を
稼ぎ出すことも困難となってきます。
業種・業態によりこの不況の影響度合いがことなりますが、製造業の業界が落ち込む中、
利益を出して業績を伸ばしている会社もあります。そのような会社とはどの様な会社なのでしょうか。
一般に経営の3要素と言うと『ヒト』・『モノ』・『カネ』と いわれておりますが、これらは企業を経営するための有形・無形の資産(資本)と考えるべきであり、、 本当の意味での経営の3要素とは言い難い面があります。 製造業では、図に示すように『ヒト』・『モノ』・『カネ』の 資産を有効に使用して、製品を製造しその製品を販売することにより『お金を』獲得し、 その『お金を』を次の『もの作り』に投資します。そして、この経営サイクル(資金循環) の中で利益を稼ぎ出すことになります。
この不況時に利益を出し業績を伸ばしている会社は、実はこの有形・無形の資産(資本) を効率よく運用し、経営サイクルを確実に廻している会社と言えそうです。
製造業の経営サイクルと資金循環
そして、このような会社では、これから説明する経営の3要素がしっかり出来ており、経営指針 をベースに具体的に事業を展開しております。中小製造業においても、 収益性を改善し健全な事業運営をおこなうためには、経営の3要素を しっかり確立して、具体的な経営計画(事業計画)を、 Plan(計画)⇒Do(実施)⇒Check(点検・評価)⇒Act(処置・改善)の PDCAサイクル(当ホームページでは中小製造業の『経営サイクル』と 呼ぶことに致します)を確実に廻すことが重要となります。本ページも含めて以下の関連ページにおいて、 経営サイクルを確実に廻すためには、どの様な点に留意したら良いのか検討したいと思います。 このページに関連するページを以下に順番に示しておきました。
経営の3要素とは
これら有形・無形の資産(資本)を使って、事業を円滑にかつ継続的に行うためには、 本来の意味での 『経営の3要素』を考えることが重要となります。
『経営の3要素』とは、下の図に示す3つの要素 『経営理念(ビジョン』・『経営戦略』・『経営計 画・運用』から構成されています。これら『経営の3要素』が 社内に確立していないと、 いくら『ヒト』・『モノ』・『カネ』という資産を持っていて も(無いよりはましですが)、これらの資産を有効に活用することが出来ませんし、 ましてや利益を出すことも出来ないかも知れません。
『経営の3要素』をご存知で無い方も居 られるかも知れませんので、これら3要素の内容について以下に簡単に示しておきます。
経営の3要素とは、
- ・経営理念(ビジョン):
経営理念は、企業の普遍的な価値観や信条を示し、なぜ会社が存在しているのか、 社会に対して何を果たす会社なのかを示しています。またビジョンは目指すべ き 理想像・到達点を意味しており、事業を行うための目標を定めたものです。 また、経営理念(ビジョン)は社員が仕事を行うときの拠り所・行動規範となり得ま す。 そして、経営理念(ビジョン)が明確に提示されており、 それが社員に浸透している会社では、 社員が快活に業務を行っており、 この不況下においても利益をあげています。 - ・経営戦略:
経営理念(ビジョン)のもとに、どの様にその目標・目的を達成するのか、 具体的な手段を考えることです。独占的で圧倒的な力を有する企業は例外ですが、 中小企業には得てして競合他社が数多く存在します。 経営戦略では他社との競争に打ち勝つために、『カネ』・『モノ』・『ヒト』に 代表される有形・無形の保有資産を用いて、どのようなそしてどのように事業を行うのか その枠組みを考えます。 - ・経営計画・運用:
経営戦略を実行するための具体的な手続き・プログラムを考えたり オペレーションを行うことです。ここでは、立案した経営計画が絵に描いた餅に ならないように、あえて運用という言葉を付け加えておきました。 経営計画には短期計画(~1年)、中期計画(1年~3年)があります。 年度の事業計画は短期計画に相当します。
『経営の3要素』を一言でまとめると、
『今後この様な会社にしたいという理想を抱き、
その理想を達成するための手段・枠組みを考え、具体的に実行すること』と言えます。
まだ会社が小さく経営者の方が一人で経営をきりもみする段階では、
この経営の3要素はあまり考えなくても良いかも知れません。
しかし、会社の規模が大きくなり従業員が増え、組織的に会社運営を行う段階では、
この『経営の3要素』を欠かすことは出来ません。中小製造
業の場合、経営者の思いつきやどんぶり勘定で経営が行われているケースが多いような気が致します。
もしそのような状態で今後とも経営を行うのであれば、この不況下で利益を生み出すことは不可能ですし、
赤字が増大し倒産の危機に見舞われるかもしれません。
この不況を打破するためにも、これら『経営の3要素』を確
実に確立して、会社を
利益を生み出す会社へと変身させる必要があるかと思われます。
経営の3要素
中小製造業においても、 収益性を改善し健全な事業運営をおこなうためには、上記に示した経営の3要素を 確立して、 具体的な経営計画(事業計画)を、 Plan(計画)⇒Do(実施)⇒Check(点検・評価)⇒Act(処置・改善)の PDCAサイクル(これを当ホームページでは中小製造業の『経営サイク ル』と 呼ぶことに致します)を確実に廻すことが重要となります。詳細については下記のページを参照してください。