PDCAサイクルは中小製造業の経営サイクル
昨今のリーマン・ショック後、「大手の会社からの受注が少なくなった」、 「製品を作っても売れない」、「今期も赤字になりそうだ」と悩まれている中小製造業の 経営者の方々の言葉を聴く機会が多くなって来ました。 景気が良ければ金回りが良く経営は楽ですが、不況下においては当然のごとく 経営は困難を極めておられることと思います。しかし、この様な不況下だからこ そ、経営者としての経営手腕を発揮する良いチャンスかも知れません。
今後さらに経済のグローバル化が進行し、国内外の競合相手との販売競争が
これまで以上に激しくなることが予想されます。そして、競合他社と比較して
価格・品質・納期面で優位に立てなければ、企業間競争に負け売上を伸ばし利益を
稼ぎ出すことも困難となってきます。
業種・業態によりこの不況の影響度合いがことなりますが、製造業の業界が落ち込む中、
利益を出して業績を伸ばしている会社もあります。このような会社では、
これから説明する経営の3要素がしっかり出来ており、経営指針
をベースに具体的に事業を展開しております。中小製造業においても、
収益性を改善し健全な事業運営をおこなうためには、経営の3要
素を
しっかり確立して、
具体的な経営計画(事業計画)を、
Plan(計画)⇒Do(実施)⇒Check(点検・評価)⇒Act(処置・改善)の
PDCAサイクル(当ホームページでは『経営サイクル』と呼
ぶことに致します)
を確実に廻すことが重要となります。このページに関連する項目を以下に示しておきました。
関連ページで経営の3要素について理解を深められたことと思います。これらを背景にして、 会社を計画的に運営するためには何が必要となるのかについ て考えて見ることに致します。
これから『PDCAサイクル』について 説明 致します。下の図は皆様がご存知の『PDCAサイクル』を示しています。 このPDCAサイクルは、製造業の「生産管理」や「品質管理」などの管理業 務を計画通りに、スムーズに進めるためのマネージメントサイクルです。 このマネージメントサイクルは、ISO9001(品質管理システム)や ISO14000(環境マネジメントシステム)に代表される「ISO標準規格」の 運用上の基本的な概念ともなっています。
PDCAサイクルとは、 1950年代に品質管理の父といわれるW・エドワーズ・デミング(Dr. William Edwards Deming)博士が提唱した管理手法です。 生産プロセス(業務プロセス)の中でプロセスを測定・分析し、 生産効率を悪化させている要因を特定して、そのプロセスを改善・改良することにより、 生産プロセスの効率化を図るためのマネージメントサイクルです。 そして、この改善プロセスを継続的に行うために、連続 的なフィードバックループとなっています。PDCAサイクルという名称は、 サイクルを構成するPlan、Do、Check、Actの英語の 頭文字をつなげたものです。以前には、CheckとActを区別せずに 「See」と分類し、PlanーDoーSeeサイクルと呼ばれていた時期もありました。
PDCAサイクルと各段階の意味
PDCAサイクルの各段階の意味は、
- Plan(計画):
従来の実績や将来の予測などをもとにして業務・経営計画を作成すること - Do(実施・実行):計画に 沿い業務を行うこと
- Check(点検・評価):
実施した内容が業務・経営計画に沿っているかどうかを確認し評価すること - Act(処置・改善):
実施した内容を証左して、計画に沿っていない部分を調べて改善策を検討すること
そして、この4段階を順次行って1周したら、最後のActを次のPDCAサイクルにつなげ、
螺旋を描くように一周ごとにサイクルを向上(スパイラルアップ、spiral up)させて、
継続的な業務(経営)改善をしていくことになります。
近年、このPDCAサイクルを
単に国際規格の運用や生産工程だけの話にとどめて置かず汎用化させ、
「仕事の基本」や「経
営サイクル」と言い表すことが多く
なってきました。
先ほど説明しました経営戦略に基づいて経営(事業)計画を立案し、
時間の経過とともには経営環境が変わっていきますので、そのつど計画の修正が必要となりますが、
その計画に沿って経営を実施していきます。そして利益が出たか否
かを定期的に判断し、
次の経営改善につなげていき、次々とこのサイクルを短期間で廻していきます。このサイクルは中小製造業の 「経
営サイクル」を端的に言い表しているかと思わ
れます。
そこで、俵 経営コンサルタント事務所では、この『PDCAサイクル』を中小製造業の基本的な
『経営サイクル』と位置づけることに致しまし
た。
経営改善は『問題点・事象を見る』ことから スタート
PDCAサイクルは『生産管理』・『品質管理』を行うための改善手法です。日常の
生産管理・品質管理活動では、もうすでに問題点が明らかとなっており、それをどの様に
改善するかと言うことが課題となっていますので、Plan(計画)す
なわち目標設定から始まっています。
しかし、このPDCAサイクルの考え方を、 『経営サイクル』と
して用いるためには、
経営上の『問題点・事象を見る』ことから始める必要があり
ます。
経営上の問題点が見えなくては、
経営改善のための方策を検討できませんので、 『経営サイクル』を
廻すに
あたり、一番重要なポイントは、経営上の問題点・課題を明らかにすることです。すなわち、
経営上の漠然とした『問題点・事象』を客観的に見てその詳
細を明らかにした上で、
誰が見ても客観的な指標で把握できるような仕組みを作ることが大切となります。
そして、経営改善のための計画を練り、PDCAサイクルすなわち
『経営サイクル』を次々と廻すことにより、企業
の
経営体質を強化していくことが可能となります。
ここで経営の基本は『問題点・事象を見る』ことから始める
といいましたが、
これは『見える化』を進めることに他ありません。
次に『見える化』について説明いたします。